記事紹介2021年12月07日
■JLLが2021年Q3のオフィス賃料動向を発表
米国シカゴに本拠地を置く総合不動産サービス大手JLLの日本法人、ジョーンズ ラング ラサール株式会社は24日、JLL独自の市場分析ツールとして作成している、世界主要都市のオフィス賃料動向を示した「オフィス プロパティ クロック(不動産時計)」の2021年第3四半期版を公開した。
「プロパティ クロック」は、主要都市における不動産の市場賃料動向を時計に見立てて可視化したツールで四半期ごとに発表されている。一般に、賃料がおよそ「賃料下落の加速」、「賃料下落の減速(底入れ)」、「賃料上昇の加速」、「賃料上昇の減速(頭打ち)」というサイクルで変動することを踏まえ、現在の値がこのサイクルにおけるどこに位置するかを示すことにより、投資判断などに役立つ資料として活用してもらえるものとしている。
対象となっているのは各都市のAグレードオフィスで、東京の場合、千代田区、中央区、港区、新宿区、渋谷区のエリアにある延床面積3万平米以上、基準階面積1,000平米以上のオフィス物件が該当する。
大阪の場合は中央区及び北区に、福岡の場合は中央区及び博多区に、それぞれ立地する延床面積1万5,000平米以上、基準階面積600平米以上のオフィス物件がこれに当たるとされる。
■いずれも前期と変わらない位置フェーズ
公開された最新の「オフィス プロパティ クロック」によると、東京のAグレードオフィス賃料は、時計の2時手前付近、「賃料下落の加速」フェーズにある。
大阪も同じく「賃料下落の加速」フェーズだが、時計の位置としては1時付近にあり、東京に比べるとまだ賃料下落の加速に入って間がなく、今後の下落加速傾向が長く続く可能性があるとみられる。
東京や大阪では、小規模な解約の積み上げによる空室率悪化が続き、借り手側であるテナント優位の市場になっているとされる。
これに対し、福岡のAグレードオフィス賃料は、時計のちょうど12時の位置、「賃料上昇の減速」と「賃料下落の加速」の転換点に当たる「賃料のピーク」にポイントが落とされている。大規模新規供給の竣工時稼働率が一定程度を達成したこともあり、市場に楽観的見方が広がっているという。
今後については、新型コロナウイルス感染症の影響次第といった面があるものの、ワクチン摂取率の向上や緊急事態宣言の解除などを背景として、社会経済活動の持ち直しペースが加速すると考えられることから、それに伴った新規賃借需要の回復、市場の好転が期待されている。
ただし、いずれの市場でも予定されている大規模な新規供給により、潜在的ニーズの喚起が期待される一方、競争力で劣る一部のビル物件における賃料が押し下げられる圧力要因になる可能性があり、その影響には注視が必要とされた。
(不動産投資ニュースより引用)