記事紹介2023年02月03日
シービーアールイー(株)(CBRE)はこのほど、2022年第4四半期の全国13都市オフィスビル市場動向調査の結果を発表した。
東京(23区)のオールグレード空室率は4.7%(前期比0.2ポイント低下)と、20年第1四半期以来、約3年ぶりに低下した。グレードアップや立地改善のための移転、拡張移転による空室消化が減床や集約により新たに発生した空室の規模を上回ったため。オールグレード賃料は1坪当たり2万1,420円(同0.3%下落)。まとまった空室を抱えるビルで需要獲得のための賃料調整が続いている。
グレードA(※)の空室率は3.3%(同0.5ポイント低下)。オフィスの需要は回復途上にあり、22年第1四半期以降、新規需要は増加傾向にあるものの、今期は約2万坪と、過去10年間の第1四半期平均の約4万坪を下回った。賃料は3万4,700円(同0.1%下落)。賃料調整が続き、下落幅が縮小しているものの、今後の空室率上昇とともに賃料の下落幅は再び大きくなると予想しており、向こう1年間で3.2%の下落を見込んでいる。
大阪は、オールグレード空室率が3.5%(同変化なし)。立地やグレードに対して割安な複数の築浅の中型ビルで拡張、グレードアップや立地改善のための移転で空室が消化された。しかし、これらの空室消化は減少や集約による空室や二次空室の発生で相殺された。オールグレード賃料は1万4,150円(同0.2%下落)と、空室を抱える高額帯のビルを中心に賃料が引き下げられた。グレードAの空室率は4.3%(同0.4ポイント低下)と、19年第4四半期以来、3年ぶりに低下した。賃料は2万4,250円(同0.8%下落)と、前期に引き続き空室を抱える高額帯のビルを中心に賃料が引き下げられた。グレードA賃料は向こう1年間で1.4%の下落を予想している。
名古屋は、オールグレード空室率が5.7%(同0.1ポイント低下)。IT関連企業等によるグレードアップ、立地改善や拡張のための移転で空室が消化された。一方、メーカー等による減床や集約のため新たに空室が発生した。オールグレード賃料は1万3,770円(同0.1%下落)と、空室を抱える高額帯のビルを中心に賃料を引き下げる動きが続いた。グレードAは空室率が8.1%(同0.4ポイント低下)、賃料は2万6,500円(同1.1%下落)。グレードA賃料は向こう1年間で4.0%の下落すると予想する。
地方都市のオールグレード空室率は、10都市中3都市で前期に比べて上昇、6都市で低下、1都市で横ばい。京都以外の都市では新規供給がなく、既存ビルの空室消化が進んだ。空室率が低下した都市は前期の4都市から増加。オールグレード賃料は10都市中6都市で前期比下落。1都市で横ばいとなった。
※オフィスが集積するエリアの貸室総面積6,500坪以上、延床面積1万坪以上、基準階面積350坪(東京500坪)以上、築年数概ね15年未満。
(不動産流通研究所より引用)