記事紹介2023年12月01日
(一財)日本不動産研究所は27日、第49回「不動産投資調査」(2023年10月時点)結果を発表した。アセット・マネージャーやアレンジャー、ディベロッパー、保険会社など178社を対象に調査を実施。147社より回答を得た。
東京都のオフィスビル(Aクラスビル)の期待利回りは、「西新宿」が3.7%、「渋谷」が3.5%、「池袋」が3.9%(いずれも前回(23年4月)比0.1ポイント低下)とやや低下。「丸の内、大手町」(3.2%)、「日本橋」(3.5%)、虎ノ門(3.5%)、赤坂(3.6%)、六本木(3.6%)、港南(3.7%)エリアは横ばいとなった。
住宅(賃貸住宅1棟)の期待利回りは、「東京・城南」のファミリータイプが3.8%(同0.1ポイント低下)と、同調査以来最も低い水準を前回に引き続き更新。また、「札幌」5.0%(同0.2ポイント低下)、「名古屋」4.6ポイント(同0.1ポイント低下)など、多くの地方都市でも期待利回りの低下が見られた。
商業店舗は、都心型高級専門店の期待利回りが、「東京・銀座」は3.4%と横ばいだったが、多くの地方都市で低下傾向。郊外型ショッピングセンターについては、「仙台」6.3%、「広島」6.3%がいずれも前回比で0.1ポイント低下したが、それ以外の地区は横ばいという結果に。
物流施設・倉庫(マルチテナント型、湾岸部)の期待利回りは、「名古屋(名古屋港)」が4.5%と前回比で横ばい。その他の地区では、前回比0.1ポイントの低下。ホテル(宿泊特化型)の期待利回りは、すべての調査地区で低下し、「京都」4.8%、「那覇」5.2%でいずれも前回比0.2ポイント低下した。
今後1年間の不動産投資スタンスについては、「新規投資を積極的に行なう」という回答が95%(同1ポイント低下)に。一方、「当面、新規投資を控える」との回答は5%と、前回比で2ポイント上昇している。
併せて実施した特別アンケート「金利上昇下の不動産投資市場と投資アセットの多様化」(回答社数135社)の結果も公表。
日銀による一連のイールドカーブ・コントロール(YCC)運用見直しによる長期金利の上昇は、想定する不動産投資期間内において「1~2%の水準」とする回答が66.2%で最多。「今の時点では答えられない」が25.6%と続いた。政策金利がプラスとなった場合は、「不動産投資市場は、一時的に停滞するものの、その後は回復に向かうだろう」とする回答が43.3%で最多に。なお、今後、量的緩和政策が変更された場合についても、「不動産投資市場はピークアウトするが、緩やかな調整となるだろう」との回答が51.9%で最も多かった。
不動産投資市場の今後の成長ファクターについては、「市場参加者の多様化」が186ポイントと最も多く、次いで「投資アセットの多様化」が171ポイント。今後のリスク要因では、「金利の上昇」が271ポイントと、2位以下を大きく引き離して最も多かった。
(不動産流通研究所より引用)