記事紹介2024年06月07日

三大都市のオフィス市場、東京は賃料上昇傾向

(一財)日本不動産研究所と三鬼商事(株)で構成する「オフィス市場動向研究会」は5日、東京・大阪・名古屋のオフィス賃料予測推測の概要を公表した。予測は日本経済研究センターの中期経済予測の標準シナリオに合わせて行なわれ、東京は2028年まで、大阪と名古屋は26年までのデータを公表している。

東京ビジネス地区(都心5区)では、23年は好調な企業業績等を背景に新規需要が喚起され、空室率は6.0%に低下。このため、賃料指数(01年を100とする)は前年比0.5%下落と下落幅が縮小した。24年は新規供給が限られる見通しで空室率は5.4%まで低下し、賃料は前年比1.0%上昇に転換する。

25年は大量供給が見込まれるが、23年以降の需要の増加傾向が継続し、空室率は4.7%に低下する。空室率が5%を割り込む水準の下、賃料変動率は前年比プラス2.7%に拡大。この傾向は28年まで続き、28年末には賃料指数が126.8となり、直近のボトムだった23年の108.7から約17%上昇する。

大阪ビジネス地区では23年は新規供給が少なく、空室在庫の消化が進んだため、室室率は4.1%まで低下、賃料指数は前年比0.2%上昇とわずかであるが上昇に転換した。24年は過去最大規模の新規供給の見通しで、地区外からの大口の移転需要等が見込まれるが、空室率は6.3%まで上昇する。賃料は再び下落に転じるが、前年比1.5%下落と小幅な動きにとどまる見込みだ。

25年も新規供給は比較的高水準の見通しだが、新規需要が喚起されることで、空室率は5.7%に低下、賃料もほぼ横ばいながら前年比0.2%の上昇が予想される。26年は新規供給が限られる見通しで、空室率が4.6%に低下し、賃料は前年比2.2%の上昇が見込まれる。

名古屋ビジネス地区では、23年は大量供給の影響が懸念されていたが、地区外からの移転需要等があり、空室率は前年並みの5.5%、賃料も前年比0.4%の下落にとどまった。新規供給が前年並みの24年は空室率が4.6%に低下、賃料は横ばいで推移する。25年はさらに新規供給が減少する見通しで、空室率は3.4%まで低下、賃料は1.9%上昇する。26年は大量供給が見込まれているが、地区外からの流入等の需要が喚起されることで、空室率は2.8%まで低下すると予測されるが、新規供給を需要が吸収し切れない可能性も残っている。

(不動産流通研究所より引用)

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